発達障害者ふくの徒然草

発達障害者であるふくの個人的な障害特性に伴う困り感やそれに対してどうアプローチして緩和させているかを徒然なるままに書き留めています。

【自閉スペクトラム症者への望ましい支援のありかたとは?】本田秀夫先生の論説をもとに考察

この記事は2700字程度です。

 

 

こんにちは。

 

自称発達障害広報係のふくです。

 

今回のブログでは、久しぶりに発達障害についてガッツリ書こうと思っています。

 

 

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さっそく本題へ参りましょう。

 

 

その前に…

 

 

注意事項

厳密には、発達障害ASDは異なるものです。

ただこれについて正確さを求めると、それだけで何千字も費やさないといけなくなり、収拾がつかなくなります。

なので今回は、診断名の厳密さに関しては、目をつぶっていただけると助かります。

 

診断名については後日改めて整理したいと考えています。

 

 

 

 

ASD当事者の生育環境

 

本田秀夫先生によると、ASD(自閉スペクトラム症)の方の主な「育ち方」には大きく分けて4つあるそうです。

 

 

  1. 特性特異的教育タイプ
  2. 放任タイプ
  3. 過剰訓練タイプ
  4. 自主性過尊重タイプ

 

 

特性特異的教育タイプ

本人の得意や不得意などの特性に合った生育環境のようです。

発達障害が早期に見つかった方はこのような生育環境で育つようですね。

幼少期から自分自身に合った生育環境に恵まれると、その後の人格形成もいい感じに進んでいく当事者さんが多いそうです。

 

放任タイプ

周囲の理解がほとんどない状態です。

発達障害に関する知識やノウハウをもつ大人が周囲にほとんどいないため、周囲の大人が当事者に対してその場しのぎの対応をしてしまうそうです。

このような生育環境に置かれてしまった当事者は、社会に上手くなじめない可能性が高くなります。

 

過剰訓練タイプ

周囲の大人たちがASD特性に対して否定的で、本人の苦手を克服させようと過剰に課題を与えてしまっている生育環境です。

このような育てられかたを経験すると、思春期のころに自分と他者とのちがいに気づき、急激に自己肯定感が下がることもあるようです。

不登校や引きこもりになってしまう当事者も少なくありません。

 

自主性過尊重タイプ

支援者などがASD当事者のペースや特性に過剰に合わせている状態のようです。

一見よさそうにも思えますが、このタイプの生育環境で育てられた当事者が社会に出たときに、同僚や上司との関係でトラブルを抱えてしまうことも少なくありません。

 

 

…参考文献をもとにかいつまんで説明しました。

詳しくは参考文献をご覧いただけると幸いです。

私の誤解釈や説明不備もあると思いますので。

 

 

参考文献

本田秀夫「自閉スペクトラム症の理解と支援」

特別支援教育研究』No.734,2018年10月,p.2-5


特別支援教育研究 2018年 10 月号 [雑誌]

 

 

発達障害者ふくの場合

 私の場合、発達障害の診断前と診断後では大きく変わりました。

 

診断前

過剰訓練タイプ:特性特異的教育タイプ

6:4

 

診断後

自主性過尊重タイプ:特性特異的教育タイプ

3:7

 

あくまでも私の感覚をもとにしています。

 

診断前は仕方ないです。

誰も悪くありません。

 

 

だって…

 

私が未成年のころ、

発達障害について知っている日本人は、

ほとんどいなかった!!

 

ので。

 

 

学校現場で発達障害について徐々に認知され始めるようになったのも2000年代に入ってからだと思います。

私が中学生のころは、学校現場でも発達障害について知っている人は、ほぼゼロに等しかったと思いますね。

 

 

発達障害について何も知らない大人たちが発達障害の子どもを見たら、多少戸惑ったり驚いたりすると思います。

 

特に、しつけや礼儀,暗黙の了解などが多い日本社会で、発達障害の子どもを発達障害の知識がゼロの状態で育てようとすると、自ずと厳しい育児や教育をしてしまうこともままあるのは仕方ないと思います。

 

 

仕方ないことなのです。

 

仕方ないことなのですが…

 

仕方ないことなのに…

 

母はやはり自分の子育てに後悔があるようです。

 

わたしが発達障害について知っていたら、娘がこんなに傷ついたり苦労することはなかったのに…と思っているかもしれません。

 

そのためか、診断後はわたしが快適に過ごせるように必死で合わせてくれます。

 

 

家の中でだけでも、ふくちゃんにくつろいでほしい…

 

ありがたいです。

 

ありがたいものの…

 

そのうち母がカサンドラ症候群にならないか心配です。

 

 

カサンドラ症候群

発達障害当事者とともに暮らす配偶者などの家族が、発達障害当事者との暮らしに戸惑ってしまったり、相手に過剰に合わせようとして、身体または精神に不調をきたすことです。

(あまり正確ではないかもしれません。ご了承ください。)

 

 

当事者への支援だけではなく…

 

本田先生の文章を読み解いてみたり、

自分自身の生育環境を振り返ったり…

 

いろいろ書きましたが、忘れてはいけない大切な支援があります。

 

 

それは…

 

発達障害児者とともに暮らす家族の支援

 

です。

 

 

家族は、自分の想定外の行動をとる当事者に戸惑い、苦悩する存在でもある。このため、ただ接し方を学ぶことだけ求められると、負担が大きい。

 

本田秀夫「自閉スペクトラム症の理解と支援」より引用

 

 

…家族は発達障害に関して学んだ専門家ではありませんからね。

当事者が生まれてきたあとで必死に勉強してくださるわけです。

 

もちろんそうじゃない方もいらっしゃるかもしれませんね。

発達障害に関する情報にアクセスすること自体が難しい方々も多いと思います。

 

また、発達障害について学ぶ過程で、多くの専門用語にぶちあたると思います。

 

これがまたきつい…

 

当事者のわたしですら未だによくわかっていないことも多いです。

 

家族なんだから発達障害者の支援をするのは当然だという考えは、家族を苦しめると思います。

 

 

本田秀夫先生は、発達障害者とともに暮らす家族は、発達障害当事者に治療的にかかわることが求められる教育の対象であると同時に、発達障害当事者とともに暮らすことによって苦悩する治療の対象でもあると述べられています。

 

 

育てる力を強化することと、癒し・慰め・励ましの場を保障することの両面からの支援が必要となる。

 

本田秀夫「自閉スペクトラム症の理解と支援」より引用

 

 

発達障害児者を育てる力を身につけようとがんばってくださるご家族の方々が、カサンドラ症候群等にならないよう、周囲の寛容さや適切なサポートがあればいいなと個人的には思います。

 

 

 

参考文献

本田秀夫「自閉スペクトラム症の理解と支援」

特別支援教育研究』NO.734,2018年10月,p.2-5


特別支援教育研究 2018年 10 月号 [雑誌]

 

 

 

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